恭一と美琴はルギタウンの中心街に来ていた。
美琴「…恭一はここと門前の張り込みどっちがいい?」
恭一「……別にどっちでもいいけど」
美琴「じゃあ、ここの張り込みでいいかな?
恭一に門を任せて、街の外に逃げられちゃったら大変だからね」
恭一「…なんかムカつく」
そんな会話をしながら、美琴は笑って門の方へ走っていった。
恭一「…ふわぁ〜あ……まだ眠いなぁ」
恭一は近くのベンチに座り、大きな欠伸をする。
恭一「…大体、大物賞金首が普通に街中歩いてるわけないじゃないか」
恭一は一人、愚痴る。
??「…元気そうですね、恭一さん」
その時、恭一に背後から話しかけてくる人物がいた。
恭一「……誰だ?」
??「……お久しぶりです」
恭一「……一弥…」
それは胸に『K』と書かれた刺繍のあるコートを着た恭一と同い年か年下と思われる少年だった。
一弥「……探すのに苦労しましたよ」
恭一「……断る」
一弥「いきなりですね」
恭一「どうせ、また『Kanon』に戻れって言うんだろ?」
一弥「はは、わかってましたか」
恭一「……『Kanon』の下っ端がそう言ってよくやってきたからな」
一弥は苦笑して話を続ける。
一弥「……まぁ、それはついでの事で、今回は別件ですよ」
恭一「別件?」
一弥「えぇ…久瀬さんの事なんですが………」
恭一「…久瀬がどうかしたのか?」
一弥は俯きながら、口を開く。
一弥「実は……一昨日『Kanon’s』を抜けていったんですよ」
恭一「…………」
一弥「現在も行方を追っているんです」
恭一「…まぁ、久瀬の能力を使えば、『Kanon』から抜けるのも楽だろうな」
恭一は笑って言うが、一弥は真面目な表情のままだった。
一弥「ええ。その日、久瀬さんの部屋に置手紙があってそこに
〜大事な目的が出来てしまった。僕は『Kanon’s』を抜ける〜
とだけ、書かれてあって………」
恭一「…大事な目的ねぇ」
一弥「それで、恭一さんが何か知ってないかと」
一弥が恭一に聞くが、恭一は笑ってこう言った。
恭一「俺は知らねぇよ。『Kanon’s』を抜けてから一度も会ってない」
一弥「……そうですか」
一弥は顔を俯かせる。
恭一「悪いな…力になれなくて」
一弥「いえ…いいんですよ……時間をとってすみませんでした」
恭一「いや、気にするな」
そう言って、一弥は恭一に背を向ける。
一弥「…あ! そうそう、今恭一さんが探してる『ケニス=ガロード』中央公園で見かけましたよ」
恭一「……(部屋からずっと見てたのか……)サンキュ」
一弥「……それでは…」
一弥は人ごみの中に消えていった。
恭一「…俺に広瀬に久瀬……『Kanon’s』も大変だな」
恭一は独り言を言いながら、中央公園に向かっていった。
恭一「やっぱり、いないな」
恭一は中央公園を見回すが、『ケニス=ガロード』はいない。
他を探そうと踵をかえすと、目の前にラジコンが走り恭一の足に当たって倒れた。
少年「お〜い、そこのお兄ちゃ〜ん」
恭一「え?」
少年「その車起こして〜」
声のする方を見ると、遠くに小さな少年がラジコンのリモコンらしきものを持って
倒れた車を指差してそう言った。
恭一は笑って、ラジコンを元に戻すため手に取る。
恭一「ん?(…何か普通のラジコンより重たくないか?)」
恭一は疑問に思ったが、気にせず元に戻す。
恭一「ほら」
少年「ありがと〜」
ラジコンは元気に走り回る。
恭一「速ぇな〜、君のラジコン」
少年「うん! さっき知らないオジサンからもらったんだ!」
恭一「え? オジサン?」
少年「うん。サングラスかけててヒゲがボーボーのオジサン」
恭一「……ッ!(まさか?)」
恭一にこの時ひとつの考えがよぎった。
恭一「ねぇ君? もしかしてその人ってこのオジサンか?」
恭一は『ケニス=ガロード』のリストを見せる。
少年「うん! このオジサン!」
少年は顔写真を指差して言う。
恭一「(……じゃあ、まさかあのラジコンがやけに重かったわけは……)」
そして恭一は恐ろしい答えに辿り着いた。
少年は知らずにラジコンをこちらに走らせてくる。
恭一「…ッ! 君! ラジコンを今すぐ止めろッ!」
少年「え?」
……カチッ
恭一「やばいッ!」
ドオォォォン
ラジコンが勢いよく爆発した。
恭一は少年をかばう様に抱いて、地面に倒れこんだ。
恭一「……いてて…大丈夫か?」
少年「う…うん」
恭一「そっか…ここはもう危ない…早く家に帰るんだ、いいな?」
少年「……うん」
周りを見ると、何事かと人が集まっている。
恭一「(奴もこの爆発を確認するために近くにいるはず……)」
恭一はそう考え公園を飛び出した。
美琴「うわぁ! 爆発!? あの方向は中央公園」
門の前に着いた所で、美琴は爆発の音を聞いて驚いた。
すると、隣からこんな声が聞こえてきた。
??「へっ! いい爆炎だぜ! 何人か死んだか?」
美琴「えっ!?」
なんと隣には、探している『ケニス=ガロード』がいた。
美琴は、すぐさまケニスの前に立ちはだかった。
美琴「見つけたっ! 『ケニス=ガロード』!!」
ケニス「……なんだぁ? お前ぇ?」
美琴「…掃除屋だよ……あの爆発もあなたね」
ケニス「…へっ……あぁ、そうさ、それがどうかしたか?」
ケニスは当たり前のように笑って言う。
美琴はその態度に、怒りを覚えた。
美琴「許さないよ…あなた」
ケニス「うっせんだよっ! ガキッ!」
ケニスは声を荒げて、ポケットから手榴弾を出しそのまま投げてきた。
ケニス「こいつでも食らっときな!」
美琴「(ここであれが爆発したら、けが人が出ちゃうかも…だったら)」
美琴が手を前に出す。
すると、美琴の手に光が集まった。
美琴「コールドブレイズ!!」
美琴がそう唱えると、手榴弾が空中で氷に包まれた。
美琴はその飛んできた氷を手に取る。
ピシッ
そのまま手榴弾は爆発したが、氷の強度が高いせいか氷に少しヒビがはいっただけだった。
美琴「危ないよっ! こんな所でっ!」
ケニス「お…お前、『水』使いかっ!?」
美琴「そうだよ、これで手榴弾は効かないよ」
ケニス「……くそっ!」
ケニスは反対に振り返り、走って逃げ出した。
美琴「逃がさないよっ! メガスプラッシュ!」
またも美琴が手に光を集めて、唱えるとケニスの進行方向に大きな氷柱が出てきた。
ケニス「なっ!?」
美琴「逃げるのが無理ってわかった?」
尻餅をついたケニスに近づき、美琴はその手に手錠をはめた。
恭一「……な〜んか全部いいとこ美琴に取られてった感じだな〜」
美琴「恭一にも見せたかったよ〜。鮮やかな私の手並み」
恭一「ちぇ〜。俺が門の張り込みしとけばよかったな〜」
恭一と美琴はさっき手に入った賞金で喫茶店に入っていた。
恭一「……それで、他にはいい金額の獲物はいないのか?」
恭一はコーヒーを飲みながら、美琴に聞く。
美琴「う〜ん……後は100万越えないのばっかりだったよ」
美琴は杏仁豆腐を食べながら、思い出すように答える。
恭一「……そっか、じゃあもう次の街行くか?」
美琴「えぇ〜、せっかくルギタウンに来たんだから遊ぼうよ〜」
美琴はもったいないといった感じで言う。
確かに、このルギタウンは大きな街である。
つまり当然、色んな娯楽もあれば、ショッピングもできるというわけだ。
恭一「……別にいいけど、俺は疲れたし、もう宿で寝るから」
美琴「えぇ〜、恭一も私に付き合ってよ〜」
恭一「………なんでだよ」
美琴「こんなかよわい女の子、一人にするの?」
恭一「心配するな……お前なら大の男が10人がかりできても、返り討ちにできる」
美琴「そうやって恭一は私を捨てるんだ…ヨヨヨ」
美琴が泣き真似の様にして、テーブルに顔を伏せる。
恭一「…お、おい…泣くなよ」
美琴「…だって恭一が一緒に行きたくないって〜」
恭一「……ああ…わかったよ…俺も行けばいいんだろ」
美琴「やった! 恭一のそういうとこ、好きだよ!」
恭一「……あんまり嬉しくない」
恭一はため息をついてまたコーヒーに口をつけた。
恭一と美琴は二人で商店街の方を歩いていた。
………………が。
恭一「……なんで腕組んでるんだ?」
美琴「……恭一、嫌?」
恭一「嫌じゃないけど……」
美琴「本当! ならいいよねっ!」
ルンルン気分で引っ張っていく美琴。
時々店に入っては美琴が、これ可愛い〜、と言ったり、店の店員にカップルと間違われたりしていた。
恭一「……ま、まだ買うのかぁ〜」
恭一が疲れたように美琴に言う。
恭一は途中から、荷物持ちになっていたのだが、その量が半端ではなかった。
ざっと、紙袋を両手に10袋ほど持っていた。
美琴「……あはは…そうだね。今日はもう帰ろっか」
恭一「…こんなに買って何に使うんだよ」
美琴「女の子には、色々あるんだよ」
恭一「……そうですか」
二人は宿に戻っていった。
夜になり、人気の無い道を一人で、一弥は歩いていた。
すると、ポケットの中の通信機から女性の声が聞こえた。
??『…一弥…応答願い…ます…』
一弥は歩きながら、ポケットから通信機を出して答える。
ピッ
一弥「どうしたの?姉さん」
??『……恭一さ…んの件……どうだった?…一弥…』
一弥「……断るってさ…まぁ予想できてたけど」
??『…あはは〜…やっぱ…りダメでしたか〜…じゃあ、久瀬さんの方は?』
一弥「恭一さんも知らなかったよ。今度は広瀬さんの方に行ってみる」
??『…うん。そうしてくれる?』
一弥「…わかった。それじゃあ、姉さん。お休み」
ピッ
一弥は通信機を切って、ポケットにしまう。
自然に口からため息が出た。
一弥「……広瀬さんも知らなかったらどうしようかな」
そう言って、一弥は夜の闇に向かって歩いていった。
S!S!S!「あ・と・が・きです」
美琴「今回は私で〜す!」
S!S!S!「今回で少しキャラが出てきました」
美琴「私の活躍もあったよね!」
S!S!S!「…はいはい、あったね」
美琴「あぁ〜、何かどうでもいい感じで言われた」
S!S!S!「全く……次は『Kanon’s』のメンバーを多く登場させたいと思っとります」
美琴「えぇ〜、じゃあ私は〜?」
S!S!S!「多分出番なし!」
美琴「うぅ〜悲しいよ〜」
S!S!S!「それでは次回もよろしく!」
感想の方は掲示板かメールにお願いします。初心者なので感想はお手柔らかにお願いします