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 一人の女性が一つの部屋で通信機を切る。

 少女A「…恭一さん…やはりダメですか……」

 彼女はため息をついて呟く。

 少女A「…それに久瀬さんも…一体どうしたんでしょう」
 少女B「………佐祐理」

 するともう一人の女性が部屋に入ってきて女性の名を呼んだ。

 佐祐理「あ、舞……何か変化あった?」
 舞「………何も変わりない」
 佐祐理「そっか」

 ここは人間界と魔界を繋ぐ唯一の扉『歪の門』のすぐ傍。
 佐祐理と舞は『Kanon』からここの監視の任務を受けている。

 佐祐理「…ここの管理はいつも久瀬さんがしてましたからね」
 舞「………だから久瀬が『Kanon’s』をやめた理由がここに関係があると思う」
 佐祐理「そうだね」





 ここは人間界最高組織『Kanon』のある華音市。
 そこにある一つの一軒家「水瀬家」。
 この家の住人は全員『Kanon’s』に所属している。
 その家の中で、この家の主「水瀬秋子」は料理をしていた。
 リビングのテーブルにはおいしそうなご飯が並んでいる。

 秋子「……これで晩御飯の準備は終わりですね、祐一さん達を呼んでこないと」

 そう言って秋子は地下へ続くドアを開け、その階段を下りていく。
 階段を下りきると、闘技場が見え、そこでは一人の少年と二人の少女が戦っていた。

 少女A「え〜いっ!」

   ピシュシュシュシュッ

 少年「どうした? 全然当たってねぇぞ?」
 少女A「うぅ〜、祐一はやいよ〜」

 少女は手に光を集め、空気中から水の弾を無数に飛ばす。
 だが、祐一と言われた少年は少女が繰り出す攻撃をことごとくかわしている。

 少女B「あう〜これでも食らえ〜!?」

   ゴォォォ  ドゴーンッ

 もう一人の少女も手に光を集め、祐一の場所一帯を爆発させる。
 しかし爆発の霧が晴れたころ、そこに祐一の姿は無かった。

 少女A・B「「え!?」」

 二人が一瞬だけ隙を見せた。本当に一瞬……0.1秒あっただろうか?
 しかし、それを見逃さず祐一はいきなり二人の間に現れ、二人の首に二つの剣先をつける。

 祐一「駄目だぞ、名雪に真琴…勝負で隙を見せたら」
 名雪「うぅ〜、今、隙見せたの一瞬だけだったのに」
 真琴「あう〜〜」
 祐一「一瞬でも駄目だ」
 名雪・真琴「「うぅ〜(あう〜)」」
 精霊A「おおぉ〜、さすが祐一兄ィ強い」
 精霊B「ホンマ、ボロ負けやなぁ〜」

 突然、名雪と真琴の頭上に2匹の精霊が現れる。

 祐一「…お前ら抜きじゃここまで違うとはな」
 精霊B「ホンマちょっと情けないわ〜」
 名雪「うぅ〜酷いよ、ウンディーヌ」
 精霊A「真琴姉ェもまだまだだねぇ〜」
 真琴「あう〜サラマンダーもうるさい」

 この2匹は名雪と真琴に契約を結んだ精霊である。
 名雪の『水』の精霊「ウンディーヌ」真琴の『炎』の精霊「サラマンダー」。

 秋子「三人とも〜! 晩御飯出来ましたよ〜!」
 祐一「あ…はい秋子さん、ほら今日はこれまでにしてご飯にするぞ」
 名雪・真琴「「うぅ〜(あう〜)」」

 不満足な感じで、二人は先に行く祐一に続いていった。





 そして、その華音市の商店街。
 そこにも『Kanon’s』のメンバーがいた。

 直樹「こんなもんか? 保奈美」
 保奈美「うん。材料はこれだけだよ、なおくん」

 二人は夕食の買い物をしている。

 店員「全部で3674円になります」

 保奈美が5000円札と十円玉7枚と一円玉4枚をだす。

 店員「おつりの1400円になります、ありがとうございました」

 二人はお店を出る。

 直樹「…最近、任務とか全然無いな」

 店を出て、直樹が小さな声で呟く。

 保奈美「うん…でもいいじゃない。平和っていうことだから」
 直樹「でも、それって『Kanon』がこの世界を支配しているからだ」
 保奈美「そうだけど……」
 直樹「これで本当の平和っていうのか?」
 保奈美「……………それは……」
 直樹「…………………」

 二人は沈黙してしまう。

 直樹「……悪い、つまらないこと聞いた」
 保奈美「……ううん」

 また二人は黙る。
 その時、二人が歩く先で一人の男の子が道のくぼみにつまづいて転んだ。

 子供「…う…うわ〜んっ! 痛いよ〜」

 子供が泣き出し、母親らしき人があやしている。

 母親「ほら、泣かないの、マー君…男の子でしょ」
 マー君「うわ〜んっ! うわ〜〜んっ!」

 それでも男の子は泣き止まない。
 すると、保奈美がその男の子に近づく。

 保奈美「大丈夫? ボク? どこが痛いのかな?」

 保奈美が優しく男の子に話しかける。

 マー君「…う…ひっく………ここ…」

 男の子は自分の足の擦りむいた箇所を指差す。

 保奈美「ようし…じゃあ、お姉ちゃんがおまじないしてあげる」

 保奈美は擦り傷のある部分に手を近づける。

 保奈美「イタイ、イタイの飛んでけ〜〜!♪」

   ポワァァン

 ベタな台詞を言うと、保奈美の手が光り、みるみるうちに傷が治っていった。

 保奈美「はい、お終い♪」
 マー君「…え?」
 保奈美「まだ痛い?」
 マー君「ううん…痛くない…ありがとう! お姉ちゃん!」
 母親「…あ…あの…どうもありがとうございます」

 男の子はすぐに元気になり笑顔になる。
 母親の方は、少し驚いているが………。

 マー君「ありがとねお姉ちゃん」
 保奈美「今度からは気をつけないとダメだよ」
 マー君「うん! バイバ〜イッ!」

 そう言って親子は向こうに行った。

 直樹「……男はあれぐらい我慢させないとだめだぞ」
 保奈美「………なおくん…」
 直樹「……ん?」
 保奈美「例え本当の平和じゃなくても…私は私のやり方で、みんなを助けられたらいいなって思ってるの」
 直樹「………そうか」

 二人は笑って、家の方向に足を向けた。





 そして『Kanon』の本拠地内。
 当然『Kanon’s』のメンバー達がいる。

 少女「…………………」

 一つの部屋で一人の少女が立っている。
 すると拡声器から女性の声が聞こえてきた。

 オペレーター「準備はよろしいですか? 香里様」
 香里「いつでもOKよ」
 オペレーター「了解しました。では始めます」

 女性がそう言うと、その部屋の重力が一気に10倍になる。
 そして次には、四方八方から無数の銃撃が飛んでくる。
 この重力の中、真っ直ぐに飛んでくる…そのスピードは普通の銃の比ではない。
 しかし、香里はそれをことごとくかわしていく。

 香里「…もっと重力をあげてもらえるかしら?」

 かわしながらも、そんな事をいう余裕さえあった。

 オペレーター「了解しました」

 すると今度は重力が15倍になる。

 香里「ちょうどいいわ」

 それでも香里はしっかり銃撃をかわしている。
 それが一時間続いた。

 オペレーター「一時間経過しました。特訓を終了します」
 香里「……ふぅ〜」

 香里が一息つく。
 すると、一人の少年が部屋に入ってきた。

 少年「よっ! 頑張ってるな美坂」
 香里「…北川君……栞は?」
 北川「部屋で寝てるよ…気持ちよさそうにね」
 香里「…そう……」
 北川「しかしよくやるね」
 香里「最近、任務がないからね…体がなまるといけないし」

 そう言って香里は部屋を出る。
 北川もそれに続いた。

 香里「そういえば、久瀬君の居所はつかめたの?」
 北川「いや、まだらしいぜ」
 香里「…そう……『Kanon’s』をやめるほどの大事な目的ってなんなのかしら?」
 北川「あいつに女がいるとも思えないしな〜」
 香里「……ハァ」

 香里は大きくため息をつく。

 香里「………ところで北川君?」

 香里が突然立ち止まる。

 北川「ん?」
 香里「………どこまでついてくる気?」
 北川「へ?」

 そこはトイレの入り口だった。





 同じく「Kanon」の本拠地。
 そこにある庭園で二人の少女が花の手入れをしていた。

 少女「ちひろ〜、このお花はどこに置くの〜?」
 ちひろ「あ、茉理…その花はこっちにお願い」

 二人して花の配置をしている。

 茉理「よっし、終わり!」
 ちひろ「それじゃあ、お水をあげないと…」

 ちひろが蛇口をひねってジョウロに水をいれていく。
 そして溜まった水をそれぞれの花にかけていく。

 ちひろ「うん、これでいいかな…茉理手伝ってくれてありがとう」
 茉理「あたしとちひろの仲でしょ! お礼なんていいよ」

 二人とも綺麗に花を飾れて満足そうである。

 茉理「そろそろ戻ろっか、ちひろ」
 ちひろ「うん」

 二人は満足そうに庭園から出て行った。





 そしてここは屋上。

 少年「……フゥ」

 そこで少年が一人、手すりに寄りかかって外を見ながらため息をついた。

 少女「どうしたんですか? 斉藤さん」

 その後ろからその少年を見つけて、話しかけてきた少女がいた。

 斉藤「…あ…天野か…いや、ちょっとな」

 斉藤は振り返って短くそう言うと、また外を見る。

 天野「もう夕食の時間ですよ」
 斉藤「……………あぁ…」
 天野「……久瀬さんのこと考えてるんですか?」
 斉藤「……まぁな」
 天野「久瀬さん…斉藤さんと仲がよかったですからね」

 そう言って「天野美汐」こと美汐も斉藤の隣に並ぶ。

 斉藤「あいつ…俺にも何も言わずに消えたんだ。こんなことって今まで無くてさ」
 美汐「……………そうですか…」
 斉藤「だからちょっとあいつが心配でさ」

 斉藤が外を向いたまま、少し笑う。

 美汐「斉藤さんは優しいですね」
 斉藤「そんなんじゃねえよ、ただ……あいつとは長い付き合いだからな」

 斉藤は照れてそう言い、美汐は素直じゃない斉藤を見て少し微笑んだ。
 すると………………

   ぐううぅぅぅ〜

 斉藤のお腹がなった。

 斉藤・美汐「「………………」」

 二人が静まる。

 美汐「フフッ、お腹は正直ですね」
 斉藤「そ、そういや夕飯できたんだよな、そろそろ行くか」
 美汐「はい、行きましょう」

 そう言って、二人は食堂に戻った。





 そしてこちらは『医療室』…なのだがドアには【営業中】の札が掛かっている。
 この部屋に一人の少女と一人の女性がいた。
 もっとも、少女の方はこのベッドで2年間ずっと寝たきりなのだが………。

 女性A「…………竹内…」

 女性は寝ている少女の名を呟く。
 少女に反応は無い。
 すると医療室のドアが開いて、一人の少女…に見える女性が入ってきた。
 夕飯がのったトレイを持って。

 女性B「恭子〜ご飯の時間ですよ」
 恭子「…結。もうそんな時間?」
 結「そうですよ」

 この結は大人なのだが身長が140cmない。
 だがこれでも立派な『Kanon’s』のメンバー副隊長の一人である。
 そして、もう一人の副隊長がこの恭子である。

 結「……どうですか? 竹内さんの方は」
 恭子「何も……変わらないわ」

 恭子が俯いて言う。

 恭子「全く…何やってんのかしらね佐藤は……」
 結「大丈夫ですよ! きっといつか佐藤君は戻ってきます。竹内さんを助ける方法を見つけて」
 恭子「……とかいって、のんびりしてそうだけど」
 結「……確かに佐藤君はのんびりしてますけど」

 二人して佐藤のことを想像して笑う。
 少し重かった空気が軽くなった。





 恭一「…は…は……ハックションっ!」

 ルギタウンの宿屋で恭一が大きなくしゃみをする。

 美琴「大丈夫? 恭一」
 恭一「あ…ああ、風邪かな?」
 美琴「気をつけないとダメだよ」
 恭一「もしかしたら誰か俺の噂でもしてんのかな」

 恭一は笑ってそう言う。
 実際、当たってるのだが……。

 美琴「そうだ! あのね恭一」
 恭一「ん?」
 美琴「明日、ハスミシティに行かない? もうここら辺の街は一通り見て回ったから
    また『バイナリィ・ポット』に行って広瀬君に情報もらおうよ」
 恭一「ああ、俺は構わないが……」
 美琴「じゃあ、決まり!」

 こうして、明日の行動が決まった二人だった。





 一弥「……ここだ」

 一弥はハスミシティの一軒の喫茶店『バイナリィ・ポット』の前に来ていた。
 「CLOSE」の札がかけられていたが、気にせず一弥はドアを開ける。

   カランカランッ

 入ると、一人のウェイトレスがこっちを向き、話しかけてきた。

 ウェイトレス「すいませ〜ん、もうお店は終わっちゃ……あれ?」
 一弥「久しぶり、柚香さん」
 柚香「あ! 一弥君。お兄ちゃんに用事?」
 一弥「うん。広瀬さん呼んでくれるかな?」
 柚香「わかった! ちょっと待っててね」

 柚香は笑って言うと、店の奥に入っていった。

 柚香「お兄ちゃん。お客さんだよ
 広瀬「ん? もう今日は終わりだぞ
 柚香「一弥君が来てるの
 広瀬「え?

 そんな話が聞こえ、少ししてこの店のマスター「広瀬弘司」が出て来た。

 弘司「お! どうしたんだ、一弥?」
 一弥「広瀬さん、聞きたいことがあるんですが……」

 それから、一弥は恭一に言ったことを弘司にも聞いた。

 弘司「いや、俺も知らないな……なんなら調べてやろうか?」
 一弥「出来るんですか?」
 弘司「ああ、人探しくらいだったら3日くれれば何とか…」
 一弥「お願いします!」

 一弥が頭を下げる。

 弘司「OK。しかし……あの久瀬がね〜」
 一弥「僕もわからないんです。あれだけ真面目に任務をこなしてた久瀬さんが…」

 一弥が俯く。

 弘司「…よし! ちょっと何か飲んでいくか?」
 一弥「…え…ですが…」
 弘司「気にするな。今日は俺の奢り」
 一弥「えっと、それじゃコーヒーを…」
 弘司「わかった。すごいうまいコーヒーを飲ましてやるよ」
 柚香「お兄ちゃん。私も欲し〜い」
 弘司「…はいはい」

 それから、弘司は素早くコーヒーを三人分作った。

 弘司「お待ちどう」
 一弥「ありがとうございます」
 柚香「ミルクいる? 一弥君」
 一弥「あ、あと砂糖もお願いできるかな?」
 柚香「はい」

 柚香がミルクと砂糖を持ってくる。

 弘司「どう? 『Kanon’s』の方は?」
 一弥「どう?と言いますと?」
 弘司「変わった事とかあった? ほら直樹とか祐一とか」
 一弥「ええ…二人とも元気ですよ。あ! そういえばこの前、久住さんが…………」





 一弥「それじゃ、コーヒーご馳走様でした」

 一弥がドアの所で振り返り、お礼をする。

 弘司「ああ、久瀬の方は任しとけ」
 柚香「またね、一弥君」

   カランッ

 もう外は真っ暗になっていた。
 一弥は店を出ると、すぐに通信機をだす。

   ピッ

 一弥「姉さん、聞こえますか?」
 佐祐理『聞こえて…ますよ〜…広瀬さ…んはどう…だった?』
 一弥「広瀬さんも知らないって。一応、広瀬さんも久瀬さんの所在を調べてくれる様に頼んだから」
 佐祐理『うん…わかった…とりあ…えず一弥は…引き続き、久瀬…さんの捜索…にあたって』
 一弥「わかった。姉さん、お休み」

   ピッ

 通信機を切ると、一弥はまた走り出して行った。

 戻る 続く


 S!S!S!「あ・と・が・きです」
 一弥「今回は僕です」
 S!S!S!「いやぁ〜苦労してるな、一弥(´ー`)」
 一弥「本当にそう思ってるんなら、早く久瀬さんに会わせてよ。作者でしょ("O")」
 S!S!S!「フッ、そんな簡単に会わせてやるかよ。自分の力で探しな(~ー~)」
 一弥「プチッ!…もう怒った!!(☆o☆)」

 一弥はポケットから一つの布を出した。

 S!S!S!「わっ!?Σ( ̄□ ̄;)  ちょっと待て!? お前の能力はまだ秘密なのに」
 一弥「待たない!!!(☆。☆)」
 S!S!S!「どわぁ〜〜!!!Σ(゜ロ゜;)」

   フォッ ズバッ!! ヒュッ ズバッ!!



   <しばらくお待ちください>


 一弥「ふぅ〜スッキリした(^。^;)」

 S!S!S!(複数の切り傷を負い、気絶中)

 一弥「あ! 僕の力はまだ秘密ですよ。(^-^)それではまた次回で」


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